平成27年2月8日から11日の3泊4日の日程で、台湾移動研修が行われました。宮城県曹洞宗青年会では道元禅師750回大遠忌記念事業のハワイ研修以来15年ぶりの海外研修となりました。参加者は正会員、賛助会員あわせて22名での研修となりました。
仙台空港で出発式
初日は移動のみの行程で、台北の入国手続の後、バスにて夕食会場へ。研修旅行での無事を祈念ながら台湾料理をいただきました。連泊にてお世話になる台北国賓大飯店には夜十時頃到着しました。
東和禅寺山門
拝登諷経
2日目は、初めにバスにて東和禅寺へ拝登しました。明治期に建てられ、現存している山門兼鐘楼堂をくぐり、本堂にて拝登諷経、観音堂にてお茶、菓子を頂き乍ら、知客和尚様に建物の歴史や、僧侶の生活などのお話を伺い、その後、寺院堂内を案内していただきました。
お茶のご接待
食堂には五観堂、五観の偈と書かれた額が掲げられ、本堂正面の大高炉や天井、柱等には永平寺・総持寺の両山紋が入っており日本曹洞宗別院としての名残が今でも残っていました。東和禅寺は曹洞宗大本山台湾別院として1910年(明治28年)に立派な七堂伽藍で創建されました、初代住職は宮城県仙台市昌傳庵 大石堅堂老師で、戦後まで日本曹洞宗の僧侶が歴任されていました。後に観音堂が建立され、1945年観音堂は台湾にて接収、東和禅寺と改称されました。今は8人の僧侶が修行されていて200件の信徒さんの供養などもされているとのことです。
本堂前にて記念撮影
龍山寺
東和禅寺の拝登の後、龍山寺を参拝しました。旧暦では正月が近いため、色鮮やかな黄色い提灯が壁を連ねとても華やかな印象でした。境内では一般の方々の祈りの場所が各所にあり、お線香をあげ、五体投地し祈りをする中国・台湾の方々も見受けられました。
台湾故宮博物館
午後には、台湾故宮博物館にて、中国三千年の歴史の中で作られた銅器・翡翠彫刻・青磁器・白磁器・書画など、所蔵物の一部を見ることが出来ました。書に興味のある私は30分程の休憩時に早足で書画部に行き、王羲之の十七帖拓本をはじめ、趙孟頫、米芾、董其昌などの肉筆を目の当たりにできたのは、感慨深く非常に貴重な体験でした。
(館内は撮影禁止でした...)
忠烈祠の傭兵の交代風景
台湾故宮博物院を離れ、忠烈祠に向かいました。忠烈祠では革命・建国で命を落とした人や日中戦争などにおいて戦没した英霊を祀る祠を参拝し、門と霊廟まで百メートルはあろう忠烈祠の通路にはロボットのような規則正しい進退で兵隊さんが歩く衛兵交代のセレモニーを見ることができました。
花蓮駅
静思堂
10日は、特急列車で台北から花蓮に向かい、慈済会(正式名称 財団法人 中華民国 仏教慈済慈善事業基金会)を訪問しました。広大な土地に静思堂(約2000人収容できる大講堂)、慈済病院、慈済医学院、慈済看護婦学校等が有り、その大きさに圧倒されました。
静思堂入口からは慈済会新宿支部に以前まで在任されていた林さんの案内で慈済会創立までの生い立ちや慈済会の活動DVDを視聴した後、パネル写真の並ぶ災害救助現場での活動風景を詳しく聞くことが出来ました。パネルの一ブースでは東日本大震災の際、石巻等で、6回にわたり災害見舞金を被害者に直々に配る様子なども見ることが出来ました。また、災害時に必要な物資を会自ら考案し、ペットボトルなどでリサイクルし作ったTシャツやブランケットなども展示され、援助活動の幅広さが窺えました。昼食には、静思堂の裏手にある食堂で精進料理を頂きました。
静思精舎
午後は慈済会の僧侶が修行している静思精舎へ拝登しました。知客和尚(尼僧)様の案内にて、本堂参拝の後、境内の畑、養肥所の様子、栽培方法の説明を受け、僧侶の衣服を裁縫する縫製室等を拝見することが出来ました。
精舎正面で記念撮影を終えて、行きと同じく花蓮より特急列車にて台北へ戻ました。
最終日は午前10時出発の航空機に合わせ、7時にホテルを出発し、日本時間午後3時半頃、日本への入国手続きを終え、参加者全員怪我等無く無事解散いたしました。
3泊4日でのスケジュール・内容共に充実した台湾研修は日本曹洞宗と台湾の関わりや災害支援団体と僧侶の在り方など、改めて学ぶことが出来ました。このような台湾研修を実現するにあたり、天野会長、神作研修委員長始め役員の方々、BSトラベルさんのご尽力と宮曹青会員諸氏のご協力、ご理解を頂き、開催できました。誠にありがとうございました。また、この場をお借りして、師寮寺の皆様と、家族に感謝申し上げ、報告とさせていただきます。
報告 研修副委員長 井上寛尚