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福島視察研修報告

 

IMG_3507 6月19日(木)福島視察研修を参加者21名(正会員17名、賛助会員4名)にて福島市、飯舘村、南相馬市を視察して参りました。
今回の研修会は隣県に住む青年僧として今この時に福島の状況を胸に刻み語り継ぐ事を第一の目的として福島視察を行い、その土地に生きる方の言葉を拝聴させて頂くため行いました。

IMG_3440_1_2 当日午前9時に集合出発し道中のバスの中では北村副会長より今視察の意義、放射能に関する知識を参加者に説明しました。 配られた資料の中に福島県の僧侶、玄侑宗久師の言葉が引用されてました。

『正しく恐れる』
自分勝手なものさしで判断して闇雲に恐れるのではなく、自ら学び最新の正しい放射能の知識に基づいて、科学的に客観的に理解し、その上で正しく恐れる。ただちょっと見ただけで、うわさを聞いただけでそのまま鵜呑みにしてしまう それが差別や風評に繋がる。

まさに我々が感じている目に見えない放射能の怖さ、問題を言い得てる言葉です。現地、放射能を「正しく観る」必要があると改めて思いました。

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福島市 常圓寺様
最初に訪れたのは福島市の常圓寺様です。 ご住職の阿部光裕老師は原発の事故直後から除染活動を積極的に行い、除染時に出る汚染土の保管を境内地に受け入れておられます。 IMG_3457_1_1
阿部光裕老師
はじめにNHKワールドが作成した阿部老師の除染活動を追ったドキュメントビデオを視聴し、その後老師のお話を伺いました。 除染のほか様々な活動をされている老師は一般のボランティアも快く受け入れておられ、福島、宮城の被災地の現状をバスツアーで知ってもらう『知るボラ』活動も行っているとの事。
色々なお話を伺いましたが活動の根本は「人々が苦悩しているのに住職としてその苦しみを汲み取ってあげたい一心である」と仰っておられました。その後、常圓寺さまの裏山に赴き線量が高い場所と除染土の保管場所を視察させて頂きました。

IMG_3467_2 IMG_3473_2 上記の写真は裏山の頂上付近ですが線量計が非常に高い数値を計測しておりました。 居住付近の場所だけ除染しても一時的に下がるだけで山などの高い場所を除染しなければ根本的に意味がないと仰っておられました。
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常圓寺様境内地内に設置された除染土置き場


続いて飯舘村を視察しました。
昨年研修会講師としてお招きしました行政区長の長谷川健一先生に村のご案内と現状を説明頂きました。
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長谷川健一氏 IMG_3510_1_1

除染土の仮置き場確保のため除染作業 IMG_3533_2 IMG_3527_1
除染土の仮々置き場
バスの中からの視察となりましたが広い飯舘村を駆け足で視察しました。
行政は地表5センチほどの土を取り除く作業を行っているが福島市と同じく標高20メートル以上の山間部の除染は行わないとしているそうです。これでは雨風によってまた汚染されてしまうと仰っておられました。
上記の写真は大量に出る汚染土の仮々置き場としているがたぶんこのままここに置かれることになるだろうと説明頂きました。
また、住民の大半が農業、酪農に携わるこの村で居住区だけ除染をしても誰が帰ってくるのだろうかと嘆いておられました。

 

続いて南相馬市に移動し同慶寺さま本堂にてご住職の田中徳雲老師にお話しを伺いました。
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IMG_3582 田中徳雲老師
地域の現状をお話頂きました。
非常に住みやすい場所であった南相馬市小高地区。農村部で三世代同居のお檀家さんが多かったそうです。それが震災以降、放射能で非難を余儀なくされ、小さい子供がいる家族は宮城や離れた場所に引っ越され、お年寄りは先祖が残したこの地に残り、仮設住宅で暮らされてる方が多いそうです。
最近ようやく地域の本格除染が始まったが、3年前からお檀家様やたくさんの方の協力を得ながら境内の清掃、除染を行ってきたが3年かけてもそんなに線量が下がったという印象は無く除染に同じ予算、時間をかけるなら屋根や雨どいなどポイントをまずしぼったほうがいいと考えておられました。
田中老師自身4人のお子様の父であり、現在はいわき市から同慶寺様に通ってらっしゃるとのこと。子供の意見を尊重しながら今後の生活を考えていきたいと話されておられました。 IMG_3612_1
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小高駅前

最後に小高駅に立ち寄りました。自転車置き場は3月11日のまま時間が止まっており駅前には人影は無くゴーストタウンのようでした。
駆け足で福島の現状を視察させて頂きましたが震災から3年以上経ても時間が止まったままのような現状、そして除染の困難さを痛感させられました。
今回お話を伺った講師3名が政府行政が進める形式的な除染作業に対して違和感を覚えておられました。

そして3名の講師が口にされていた「この状況、現状を知って欲しい」
知る事から考え、選択、行動し自分たちの未来、次の世代に繋げて行かなければならない。

「本当の復興とは何か」

参加した会員はそれぞれ考えさせられる研修となりました。

平成26年度第1回研修会報告

IMG_3385 去る6月5日(木)午後1時30分より三本木町「天性寺」さまを会場に「平成26年度第1回研修会」が開催されました。 講師は会場寺院の御住職でもある 渡邊了英老師にお勤め頂き「曹洞教団の歴史と峨山禅師」と題して講習を賜り、会員30名の参加がありました。 IMG_3389
IMG_3395 開講式風景

今期の青年会は東日本大震災で被災した地域の青年会として自分たちに何が出来るか、何を期待されているかを考え目標とし活動して参りました。 その活動の根本にあるものは我々は仏様の弟子であり、曹洞宗の脈々たる法を継承する僧侶たる自己に他なりません。 その僧侶としての自己を曹洞宗の歴史と自らが受け継ぐ法を学ぶことによって、さらに力強く補完し、それぞれの活動につなげていくことを今回の研修会の開催目的としました。 IMG_3420
講師 渡邊了英 老師

講習では曹洞宗の法系(人法、伽藍法)を基礎からお話頂き、また渡邊老師が大本山總持寺で侍真として役寮を勤められた経験から得た貴重なお話や資料を頂戴しました。 特に老師は若い僧侶が曹洞宗法系の肝心要である「三物」への意識の低さ、授戒において袈裟の意義を知らずに授戒作法を行っていることに警鐘を鳴らしておられました。

講習の最後に「何か一つだけでもこれだけは負けないという気概、自信を持って精進して下さい」と我々に激励を送って下さいました。 IMG_3426

平成25年度第2回研修会報告

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開講式風景

去る平成25年11月12日、今年度第二回目となる研修会が仙台市林香院様にて開催されました。
講師として福島県飯舘村前田区行政区長をお務めの長谷川健一さんをお招きし「生きる権利を奪われた飯舘村の今」と題し講演を頂きました。
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長谷川健一氏

今回長谷川さんを講師に依頼した理由として、今期の宮曹青の行動指針である《実際に自らが現場へおもむき、行動を起こすこと》から、同じ東北の隣県に住む青年僧として、いまこの時に福島の状況を胸に刻み語りつぐことの重要性を強く意識し、現地研修の準備段階として今回の研修会の運びとなりました。

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研修会では、住み慣れた故郷から無理矢理引きはがされた思い、酪農家としての苦悩、そして報道では語られなかった真実を率直に語っていただきました。さらに、知り合いの酪農家が「原発さえなければ」というメッセージを書き残し自死した事、102歳の男性や90歳の女性が避難の足手まといになるからと自ら命を絶った事、今後も自死が懸念される状況を問題提起されていました。

講演終了後、質疑応答となり「我々に出来る事は何か」という質問には「私の声を多くの人に届けてほしい」と話されていたのが印象的でした。

今回の研修会では、宮曹青は隣県の福島県の震災被害、特に原発被害の現状をどこまで理解しているのかという事がまずはじめの課題としてありました。今後宮曹青の活動を展開するにあたり、長谷川健一さんの命の言葉をしっかりとこの胸に刻み、僧侶として、青年僧として何が出来るかを考えていけたらと思います。
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平成25年度第1回研修会報告

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                    研修会写真 開講式風景

平成25年7月11日午後1時30分より、仙台市新寺林香院さまを会場に宮曹青第一回研修会が正会員、賛助会員合わせ35名の参加にて行われました。講師は昨年度に引き続き長野県長谷寺副住職 宮下俊哉師、宮城県社会福祉協議会 北川進氏を迎え「災害時に要援護者となってしまう人々を考える」と題してご講演頂きました。
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講師の宮下師(左)と北川氏(右)

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全曹青膝舘副会長

研修会のはじめに聴講にお出で下さいました、全曹青膝舘副会長師より全曹青災害復興支援部の紹介や支援部の本庁移管の経緯をお話し頂きました。

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研修会は聴講者がグループに分かれ意見交換をしながら災害時だけでなく普段も自分たちで何が出来るかを考える研修を行いました。要援護者の定義や僧侶としての強みや弱み(何が出来て何が行いにくいか)等を紙に書きだしてそれぞれの認識を確認しました。多角的な視点から見ることの大切さに「気づく」研修会でありました。次回研修会は11月を予定してます。

第一回研修会アンケート結果_01