令和3年4月の定例総会より、宮城県曹洞宗青年会第27期会長を拝命致しました第14教区(登米市)大慈寺住職髙橋信弘と申します。
まず初めに、新型コロナウィルスによって様々な影響を受けられました皆様にお見舞いを申し上げます。また、そのような状況下にあっても当会へご協力を賜っております会員皆様に深く感謝申し上げます。
この度の就任にあたり、より一層身を引き締め謙虚さを大切にして任に当たってまいる所存でございますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
さて、昭和44年の発起人総会を起点として、会の目的を「会員相互の研修と親睦」「布教活動の推進」と定め、以来50年を超える歩みを重ねてまいりました当宮曹青でありますが、これまで篤いご道念によりご尽力下さいました県内諸先輩老宗師はじめ、特別会員皆様のご恩誼に、改めて深く感謝すると共に心より敬意を表します。
長い歩みの中には到底一文では表せない数々の出来事があったと見聞してまいりましたが、その時々に諸先輩方が懸命に活動にあたってこられたことはいうまでもなく、現会員諸師においてもその道念が通底していることは言を俟ちません。特に東日本大震災発生時より、物資の配給から被害の大きいご寺院様の片付け作業、仮設住宅での傾聴活動や慰霊供養・行脚など、これまで被害に遭われた皆様に少しでも寄り添いたいと、歴代会長を中心として多岐にわたる活動を今でも継続しているところでございます。
近年は新型コロナウィルスによりこれまでの活動の継続が困難となるばかりか、これまでの考えや日常そのものの変化を求められ、それが元となる事件なども起きております。前期の神作会長の代にも活動に様々な影響がございましたが、それでもスローガンの通り心一つに歩みを進め、これまで経験の無かったオンライン会議等を取り入れながら、新たな時代にさらなる貢献と会の発展を目指し活動にあたってまいりました。
新たな変革を求められるこの時、会長の任を仰せつかることとなり、私達は仏教の立場から青年僧として、どのように会務を行じていくべきか自問自答し、諸先輩老宗師の志を振返った時、「一人でも多くの人が心穏やかに過ごせるよう寄与したい」との思いに至りました。
一仏両祖より歴代祖師の方々が、多くの衆生を済度することを誓願なされ、これまで脈々と法灯が相承なされたように、宮曹青にあっても歴代会長老師を中心に諸先輩老宗師が自らの行動で示すお姿の中に多くを学ばせて頂きました。その志を受け継ぎ次代へ渡すことができるよう、今期『四無量心』-慈・悲・喜・捨を行ずる-とスローガンを定め会務を行じていくことと致しました。
『四無量心』とは四種の無量の意であり、無量の衆生を対象とし平等の福を与えるを意味します。
慈 慈しみをもち多くの人の幸福を願う。
悲 苦しみを抱えた人がいたならば除いて差し上げる努力をしたい。
喜 喜びある時は心から共に喜び、
捨 平静な心を持ち執着をすてて活動にあたっていきたい。
利他行を行ずるということは、強い信念のもとに自身が研鑽を積み、精進を重ねなければならないと考えますが、正に会の目的に副うことと思うところでございます。
任期中には東日本大震災で亡くなられた方々の十三回忌法要を迎えますと共に、東北地区青年会連絡協議会の宮城大会も予定されております。今期宮曹青では、十三回忌法要と大会の圓成を目指し、常設4委員会に特設委員会を加えて準備を進めてまいります。
特設委員会とは、梅花流詠賛歌を通した活動を担い、常設委員会や県内梅花流各団体と協力する際の橋渡し役、法要へ梅花を取り入れる際のお唱えや法要への関わり方を助言します。そして、梅花の基本は重んじつつ新たな取り組みも模索し、師範・詠範の専門的分野という枠組みを外し、どなたの心にも寄り添えるものとして布教活動の推進につなげてまいりたく考えます。無理に専門的な受講やお唱えを望むものではなく、これまであまりご縁のなかった方々にも見識を広めていただく助けになればとの一念によるものです。
この他にも、スローガンに込めました願いの実現を図るため、県内にて活動を行っているフードバンクや子供食堂への物資の提供など、地域社会への貢献を目指します。
いつの時代にも私達の周りには何かしらの困難や問題が生じております。高祖道元禅師・太祖瑩山禅師が、梅の花-厳しい冬を乗り越え、誰に褒められることなど期待せず、春が来れば小さな花を咲かせるその姿-に精進を重ねる仏道修行の姿を重ね見て好まれたとございますように、私達宮曹青も今期スローガンのもと、老若男女一人でも多くの方々が心穏やかに過ごせるよう梅の花のごとくひたすらに行じてまいりたいと思います。
県内ご寺院様はじめ正会員・賛助会員・特別会員の皆様には、これまでと同様にご理解を賜りご指導お力添えくださいますよう伏してお願い申し上げ、ご挨拶とさせて頂きます。
合掌